10月1日の内定式でWell-Beingの話をする中で「自分の強みを発揮させる」ことが大切なこと、自分の強みを作るために読書や勉強することが必要なことを説いたと書きました(内定式でWell-Beingのことを話しました 第2回自分の強みを発揮させる・・・まずは強みを作ることから)。
その中で日本のビジネスマンがいかに読書をしていないか、いかに勉強していないかについて触れましたが、そのあたりのことを再構成して社内報に書きましたのでここで紹介しようと思います。
学び続けている社会人のなんと少ないことか
多くの社会人は一日仕事をして家に帰ると疲れてバタンキュー。または晩ご飯食べてテレビ見て風呂入って寝るだけの毎日だったりしています。
あるいは仲間と酒飲んで帰ってやはりバタンキュー。
とても勉強なんてできません。せいぜい会社の用意した研修プログラムに参加するくらいです。
よく引き合いに出されるデータで日本のサラリーマンの平均読書時間は「1週間に6分」というものがあります(出典「平成28年社会生活基本調査結果」総務省統計局)。
たった6分と思いますが、これは平均値のマジックによるものでさらに分析すると驚くべきことがわかります。
ビジネスパーソンの1週間の読書時間
n=18,740人(15才以上)
その内有職者(「家事や通学のかたわらに仕事」をしている人を除く)=8,892人 のデータを抜粋
ビジネスパーソン全体の読書時間 | 読書時間0分でない人 | 0分でない人の読書時間 |
6分 | 6.1% | 99分 |
上の表で示した通りビジネスパーソン全体の読書時間は週平均で6分ですが、実は本を読まない人(つまり0分の人)が圧倒的に多く9割以上を占めます。
(100%ー6.1%=93.9%)
一方で本を読んでいる6.1%の人が1週間にどれだけ読んでいるかといえば99分です。
平均6分というのは0分の人が多いから出てくる数字で、実態は読書する人としない人では読書時間がここまで違うのです(99分が多いかどうかも議論がありそうですが)。
総務省の統計には読書だけでなく色々な生活時間についてのデータが掲載されています。
その中で「学習・自己啓発・訓練(学業以外)」のデータを見てみましょう。
ビジネスパーソンの1週間の勉強時間(学習・自己啓発・訓練(学業以外)
n=18,740人(15才以上)
その内有職者(「家事や通学のかたわらに仕事」をしている人を除く)=8,892人 のデータを抜粋
ビジネスパーソン全体の勉強時間 | 勉強時間0分でない人 | 0分でない人の勉強時間 |
3分 | 2.1% | 160分 |
読書時間よりさらに顕著な結果となりました。
こちらも勉強をまったくしない人が98%を占めており、勉強している2%の人だけを抜き出すと平均160分となります。
こう見てくると、社会人の大半は読書もしないし勉強もしていない、ごく一部の人が読書と勉強にそれなりの時間を割いていることが浮き出てきます。
年収の高い人はやはり勉強もしています
また総務省は同じ「平成28年社会生活基本調査結果」(総務省統計局)の中でこんなデータも公表しています。
年収別に見る勉強している人の割合
nn=30,128人(雇用されている人)
年収 | 学習している人の割合 | |||
語学 | ビジネス関係 | 人文・社会・自然科学 | 芸術・文化 | |
250万円〜 | 8.2% | 20.0% | 7.9% | 5.9% |
300万円〜 | 7.8% | 19.5% | 6.6% | 6.1% |
400万円〜 | 9.0% | 24.3% | 7.4% | 6.5% |
500万円〜 | 12.8% | 24.8% | 8.6% | 6.7% |
600万円〜 | 16.6% | 29.0% | 9.6% | 9.1% |
700万円〜 | 18.7% | 31.0% | 14.5% | 9.8% |
800万円〜 | 22.0% | 28.4% | 15.0% | 10.3% |
900万円〜 | 24.9% | 33.9% | 12.5% | 12.0% |
1000万円〜 | 30.6% | 35.1% | 19.9% | 16.9% |
1500万円〜 | 44.6% | 32.8% | 29.9% | 22.0% |
こちらの表は勉強時間については示されていません。単に勉強しているか否かの行動者率を明らかにしているだけですがなかなかきれいに傾向が出ていると思います。
年収金額の絶対値は雇用されている企業によって変わるのであまり細かく見る意味はありませんが、年収が高い人ほど勉強している人が多い。
注意が必要なのは、年収が高いほど勉強する人の割合が増加するとの相関関係は見られますが、それを直ちに勉強すれば年収が増えるとの因果関係に読み換えないことです。そこまではこの表からはわかりません。
むしろ年収が高い人はたとえば時代の変化が激しくなっていることをより肌で感じる機会が多い、あるいは変化に敏感なことが想定され、その結果勉強の必要性を強く感じていると言えるかも知れません。
その点では、ビジネス関係(パソコン、商業実務など)は業務上の必要性と直結することから年収の低い層でも勉強している人の割合が高くなっているのに対し、最近注目されるようになった「人文・社会・自然科学」、「芸術・文化」のようないわゆるリベラルアーツと呼ばれる分野についてはは年収が高い層で勉強する人が増える度合いがより顕著になっている点が興味深いところです。
やはり勉強は大切ですね
こう見てくるとやはり勉強は大切だし、また勉強している人が少ない現代においてはちょっと勉強すればたやすく人と差がつけられそうにも思います。
インフルエンサーと呼ばれる方々が揃って勉強の大切さを説くのがよくわかります。
また一昔前であれば勉強すること事態にお金がかかる(本を買うコスト、学校に通うコスト、セミナー受講のコスト等)ものでしたが、インターネットの発達した現代においてはコストフリーでかなりのことが勉強できます。
すなわち以前は勉強するのも限られた層の人たちの特権であったが、現代ではやる気さえあれば誰でも勉強して周囲に差をつけたりビジネス上のチャンスを掴んだりできるようになっていると言えます。
エピローグ
誰でも学びを得やすい点でいい時代になりましたね。
というより「やる気」や「本気」が試される時代になったということかも知れません。
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