フレームワーク「SWOT」のやり方を間違わないように

SWOt分析
プロローグ

戦略コンサルティングファームの人は何かにつけて4象限に分けて示したがりますよね 笑

ぼくらのような普通のビジネスマンはこの手の図で表現することに慣れていないのですが、コンサルタントの人は永年そのような思考プロセスに慣れているのでさっと図解できるのですね。

研修の先生もそういうかたが多いように思います。

4象限分けに限らずクリティカルシンキングのフレームワークは使い慣れていないと、つまり使いかたをマスターできていないと、付け焼き刃で試してもあまり有用な結果を得られないものです。

で、メリットを感じられないものですから結局使わなくなってしまう。

実はそれ、もったいないことなのかも知れません。
やりかたさえマスターすれば議論の進みかたも違うし色々なアイデアが出たりします。

ぼくは「SWOT分析」でそんな経験をしたことがあるのでご紹介申し上げようと思います。

SWOT分析を表面的に行うところで終わってしまうとあまり役に立ちません

最近仕事でSWOT分析をやった人のプレゼンを受けたのですが、それが強みや弱みを表面的にいくつか書き出したところで終わっていたのです。

そうなると強みの中から、この強みを活用してこんなことをやる、との結論に向かって終わってしまうわけです。

実際にはそのかたのプレゼンテーションの結論はSWOTと関係なく色々な事象を論理立てて組み立て導いていたので説得力があったのですが、そうなるとなぜSWOTやった?という気もしてきます。

SWOTはおそらく定番の、と思いますが、やりかたがあります。

ただ強みや弱みを書き出すだけでなくもうひと工夫すればとても深い議論を生み出すことができるのです。

SWOT分析を表面的に行ってしまうと・・・

デスクの上

SWOTを表面的に行ってしまうとはどういうことでしょうか。

その話の前にまず「SWOT」とは何かを簡単に記します。

「SWOT」とは、

  1. Strength(強み)
  2. Weakness(弱み)
  3. Opportunity(機会)
  4. Threat(脅威)

の頭文字を繋げた言葉です。

つまり自社や自社製品について、その「強み」と「弱み」、業界など取り巻くビジネス環境変化において今後期待できる「機会(チャンス)」や「脅威(ネガティブ要素)」を整理して分析するフレームワークです。

自動車を例にとると、Strength(強み)は加速がいい、コーナーリング性能がいい、デザインがいい・・などになりますし、Weakness(弱み)はエンジン音がうるさい、燃費が悪い、トランクが狭い・・などなど。

Opportunity(機会)は自動運転技術の進歩によりお年寄りも運転できるようになったり、低金利(によるローンの組みやすさ)で買いやすくなったりなどがあるでしょうか。

Threat(脅威)は脱炭素のトレンドや若者の自動車離れなどがありますね。

さてSWOTを表面的にやってしまうとは、たとえば・・

うちの会社のクルマは同じ価格帯の競合社のクルマと比べて圧倒的にコーナーリング性能とブレーキ性能がいい。だからファン・トゥ・ドライブを訴えていこう!と考えて大垂水峠をかっ飛ばすCF映像を撮影することに決めたりすることです。

ありがちだと思いませんか?

正調SWOT分析のやりかたとは?笑

まあ、正調かどうかはわかりませんが、ぼくがある本で読んだやりかたはその後会社の仲間との議論で使ったらとてもいい議論が進見ました。

そのやりかたは、まず通常のSWOTを行って「強み」「弱み」「機会」「脅威」を書き出していきます。

これはできるだけ多いほうがいい。
この段階のものを誰かに発表するわけではないので、こんなの強みになるかなと躊躇せずとにかく出す!ことが大事です。

そうやって一通り出したら、下図のようなマトリックス表を作ります。

クロスSWOT分析

そしてグレーの4つのマスを埋めていきます。

それは、たとえば「強み」と「脅威」のマトリックスのマスには、

「加速がよい」や「コーナリングが安定している」の強みと「若者の車離れ」の脅威からから考えられる方策として「若者向けにサーキットでのスポーツ運転イベントを開催する」という案が出るかも知れません。

そのように縦軸と横軸の項目からやってみるべきアイデアをブレーンストーミングするというわけです。

ふたつの軸の交点のアイデアを出すというのはものを考えやすくすることになりますし、グループでこういうディスカッションをすると次々にアイデアが生まれるモノです。

今回この投稿を書くにあたってインターネット上を調べたらこのような手法を「クロスSWOT分析」というのだそうです。

これ、おすすめです。

ちなみにぼくがこの手法を初めて知ったのは、「ザ・ファシリテーター」(森時彦著 ダイヤモンド社)を読んだときのことです。

この本もおすすめです。他にも色々なフレームワーク、モノの考え方が紹介されており、全体が会社の危機に対応していく物語になっているのでとても読みやすかったのを思い出します。

アイデアがたくさん集まったらあとは突き進むのみ

上のやりかたでアイデアがたくさん出されたら、あとは優先順位と担当を決めて突き進むのみですね。

この「クロスSWOT分析」は初めてでもとてもとっつき易く、誰でも抵抗感なくアイデアを出し合えるのでロジカルシンキングのためのフレームワークに対して少し斜に構えるような人たちでもわいわいガヤガヤと没頭しやすい。

少なくともぼくが会社のいくつかの部門のメンバーたちとやってみたときには、どのグループメンバーもすんなり入ってくれました。

素人向けには優れたフレームワークだと思います。

実践
エピローグ

「MECE」についての投稿にも書きましたが、この手のフレームワークはとにかく実践あるのみ。

何度もやっているうちにうまく使いこなせるようになるものだろうと思います。

その点、クロスSWOTはとっかかり易く一度目からそれなりにうまく進めることができるのは上で述べた通りです。

しかしこの手法にも落とし穴がありました 笑

社内のあるメンバーの話を聞いていたら、彼が準備した説明資料の中にSWOTが出てきたのですが、それが普通のSWOTを表面的になぞっただけの分析だったのです。

えーっ・・と思いましたが、散々クロスSWOTを使ってよい議論をしてもその後2〜3年使っていないと人間は見事に忘れてしまうものだということを学びました!笑

何度も実践するだけでなく間をおかずに繰り返すことも必要なのですね 笑

SWOt分析

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この記事を書いた人

山田文彦
 株式会社クレハトレーディング代表取締役社長
 社員の力をどうやって高めていくか? これが毎日考えているテーマ
 日本一の会社にしたいと真面目に考えています

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