営業力育成にロールプレイイングは有効だという話

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昨晩7時から10時まで3時間のセミナーを受けました。講師はお二人、株式会社新規開拓社長の朝倉千恵子さんと30社以上の企業を経営し「新経営戦略塾」を運営されている小島幹登さん。お二方ともむちゃくちゃ熱量の高いかたで僕自身も3時間のセミナー終了後遅い晩飯にありつきながら興奮冷めやらずの状態でした。

前からロールプレイは良い練習と思っていたのですが・・

その中で前段2時間の朝倉千恵子さんのお話からロールプレイの話題に触れたいと思います。

ロールプレイ、ビジネスに携わる人なら知らない人はいないだろうといえるくらい有名な練習方法ですね。たとえば2人1組で1人が営業担当役、もう1人がバイヤー役を演じて模擬商談をするというヤツです。

誰もが知っていることなのですが、実はこの練習方法を導入して実践している企業や組織は意外に少ないのではないかと思います。なんとなく気恥ずかしいからでしょうか。大の大人が学芸会ではあるまいし・・・ということなのかもしれません。だから営業研修会で講師の説明のあとに「はい、ではこれから2人1組でロールプレイをやりましょう」となったときは取り組むものの、結局その場限りで終わってしまい会社に戻ってからは2度とやることはない、というケースが多いのではないでしょうか。

実は営業パーソンの商談力向上にロールプレイがとても有効だとは前々から感じていました。以前の職場で若手育成のために導入したときには、先輩社員がバイヤー役となって意地悪な質問をわざとしたりする、それにどうやって答えるのか。このやりとりをiPhoneで録画してチームのみんなでそれを見て振り返りながら、あーだ、こーだと言い合う。とてもよいトレーニングになっていました。

また必ずしも若手に限らずベテラン社員に対しても有効だと考えています。日本企業において製造業の生産現場や小売業、飲食業のホール係などは業務マニュアルがしっかり整備されていることが多い。だから新人に対してはこのマニュアルで仕事を教えていけば社員が皆一定水準の業務をこなせるようになります。しかし営業現場でそれぞれの営業担当者がどのように商談を進めているかはそれこそ千差万別のはずです。

新人の歩き始めの頃こそ先輩社員が一緒にお客さんを回りますが、すぐにひとり立ちさせて担当を与えた以降はたまの上司同行時を除けばひとりで動くようになりどのような商談をしているのかわからない。上司が同行する場面ではたいてい上司が主体となって話すことになるのでやはり普段担当者がどのように商談しているかはわからないものです。

ロールプレイをすれば普段どのような商談をしているかが視覚化できる。これは上司にとってはメンバーを理解する上で革命的とすらいえるくらいの良い機会となりますし、同僚メンバー、後輩メンバーにとっても仲間が行なっている商談のよいところを取り入れる絶好のチャンスとなります。

購買部門でもやったことがあります。購買部長に「購買も商談、交渉をこなすという点では営業と何ら変わらないのだからロールプレイやってみたら?」と勧めたところ、やってくれたんですね。後日「山田さん、あれとてもよかった。これからも定期的にやっていこうと思う」と言ってくれたものでした。

極限レベルのロールプレイイング

ただ昨日朝倉さんに聞いた話はそのレベルが違いました。なんと「ロールプレイで100本ノック」というのです。何でも1分間隔で役割交代をしながらずっと続けるらしい。昭和の体育会野球部並みのスパルタぶり。

ただこれをやると体で覚えるのだそうです。まさに昭和!そもそもロールプレイはわざと相手役はきついことを言ったりするもの。現実の商談よりはかなりハードルの高いやり取りになったりするものです。これを1分交代で100ノックすると本番で何を言われようが怖いと感じなくなる、それが大事なのだそうです。何事も徹底してやるということが大切なのだとあらためて気付かされた次第です。

で、我が身に振り返ってどうしましょう?が今日の本題です。ロールプレイで100本ノックが有効なのは火を見るよりも明らかですが、それではこれを社内でやろうとしたときにメンバーがどう反応するか。社歴が長くなればなるほど「何を今さら」と言うでしょうね。各部で取り組んでくれと言ったところでおざなりになってしまい、いつの間にかどこかへいってしまうことは火を見るより明らかです。

組織でロールプレイを定着させるには

そこでこの「何を今さら」となって取り組んでもらえなくなる理由を整理してみます。以下のようなことが考えられます。

(1)人のロールプレイを見るのはいいけれど自分のを見せるのはちょっと・・・
(2)人前でお芝居することがそもそも気恥ずかしい。
(3)自分は商談パターンをすでに確立しているのでいまさら変えたくない、または変える必要を感じない。
(4)自分の商談スキルがオープンになる。あいつ意外に大したことないと思われたら嫌だ。
(5)そもそも商談は何を話すか、何を聞いてくるかが大切なのであってスタイルはそれぞれの個性に任せるべき
概ねこんなところでしょうか。

では上の一つひとつについて各個撃破できますでしょうか(笑)

(1)(2)(3)(4)に共通するのは自分より素人あるいは経験値の浅いメンバーにお手本として見せるのであれば抵抗は少ないでしょうね。そのときにはラインマネージャーは入らないようにして「あなたに指導を頼むからよろしく」というやり方。ただこれは若手メンバーにはためになるけれど先輩社員側にはどうか。自分でお手本をやること自体勉強になることは間違いないがやや消極的な効果かな。

演劇を取り入れる

(1)(2)についてはいっそのこと演劇の実演をやってみるのも有効そうです。僕は何年か前に劇作家の平田オリザさんのコミュニケーション力向上セミナーを受けたことがありますが、これは最終日にはチームで演劇をそれこそシナリオ作りから配役極め、練習と積み上げて他のチームの前で披露するというものでした。詳しくは省略しますがコミュニケーション不全がどのように起こるのか、どうすればスムーズなコミュニケーションを取れるようになるのかについて大変勉強になったセミナーでした。

この応用編としてたとえば2人 vs2人の商談場面について10分程度の演劇を4人のチームでシナリオから作って練習しみんなの前で披露するというのは面白そうです。チームで取り組めば恥ずかしさも軽減されることでしょう。発表の場で他のメンバーから意見をもらったりすればかなり勉強にもなりそう。これは(4)にも有効そうですし(5)のような考えを持っている人に対しても話しかた、聞きかた、姿勢、視線などで印象がずいぶん変わるなどということも学べそうな気がします。

何よりチームでシナリオを作成する過程で商談の進め方についての深い考察が得られますし、練習を進める中での気づきも色々ありそうです。

それ以外の方法としては外部セミナーに派遣する、ですかね。同じ会社のメンバーのいないところでの研修なら(4)の人にとっても効果的ですし、それこそ朝倉先生に100本ノックで鍛えていただくというのは(3)や(5)の人にとってもきっと目から鱗が落ちる経験ができることでしょう。

ただネックはこれを営業パーソン全員対象に行うとコストが猛烈にかかることですね。社内で商談レベルが高いと目されている何人かを派遣して学んでもらって、会社に戻った彼らをリーダーとするチームを編成して演劇するのがいいのかも知れません。

書いているうちにぜひやりなくなってきた!(笑)


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この記事を書いた人

山田文彦
 株式会社クレハトレーディング代表取締役社長
 社員の力をどうやって高めていくか? これが毎日考えているテーマ
 日本一の会社にしたいと真面目に考えています

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