絵本を読んで沸き起こる感情について考えました。
「半藤一利さんが亡くなりました。『絶対に戦争を起こしてはならない』という言葉を残して。」でタモリさんの「愛があるから戦争は終わらない」という話を紹介しました。
そもそもこの話をどこで知ったかははっきり覚えていません。たぶん1年か2年くらい前に何かのインターネット記事で読んだのだと思います。半藤一利さんの訃報についてのブログ記事をあげたときにこの話を思い出して、あらためて検索をかけると、吉本芸人兼絵本作家のキングコング・西野亮廣さんのnote「タモリが語った『戦争が無くならない理由』とは?byキンコン西野」がヒットしました。
キンコン西野さんの絵本「オルゴールワールド」
西野さんは絵本作家だった
僕自身はテレビを全く見ないわけではありませんし、テレビが嫌いなわけでもありません。
ただ長く営業を務め、お客さんとの会食などで帰りの遅い日が多かったので、世間の人たちよりテレビを見る時間がずっと少なかったと思います(この1年間、コロナ禍のお陰で真面目に早く家に帰るようになり、また在宅ワークも増えたので、人並みにテレビを見るようになっていますが)。
なのでお笑い芸人さんの名前もあまり知りません。それどころが大御所の女優さんの名前も心許ないほどで、いまだに松たか子さんと松嶋菜々子さんの区別がつかず、家人に呆れられています。
キングコングというコンビを知ったのも今回が初めてでした。西野さん、ごめんなさい。
というわけで、西野さんを初めて知ったのですが、上記noteを読んで早速西野さんの絵本「オルゴールワールド」を楽天ブックスで購入しました。西野さんのタモリさんに対するアンサー「戦争はなくせなくても止めることはできる、先延ばしにすることはできる」の考えに近づきたかったからです。
オルゴールワールドのおもしろさ
この物語、むちゃくちゃ面白い。いやむちゃくちゃ面白いというのとはちょっと違いますね。ハラハラドキドキ、どんでん返しがあって・・・というような大人向けの小説の面白さとは質が全然異なります。
そりゃ、絵本ですから大人の小説の筋書きとは根本的に違いますが、それが面白さの違いというわけではありません。ストーリーはしっかりしています。そのストーリーを追いながら、すごく考えさせられるのです。僕は上で書いたように西野さんのnoteを読んで事前知識を持っていたから余計にそうですが、もし予備知識なくいきなり読んだとしても深く胸の奥底まで考えさせられただろうと思います。
子供が読むとどうなのでしょうか。大人と違って、なぜ争いが起きるのかをもっと素直に、この絵本の物語をそのままスッと心に染み渡らせるのかも知れません。こういう物語を読んだ子供が大きくなると、どんな大人になるのかな。
この本については、まだまだ色々と考えてみたいことがあります。それについてはもう少し時間をかけて何度も読み返しながら、あらためて書き起こしてみたいと思います。
今回は、まず「絵本」そのものについて考えてみます。
絵本を電子ブックで検索してもヒットしない
楽天の電子書籍から探そうとしましたが・・
久しぶりに絵本を手にして(とはいえ、好きなので数年に一度くらいの間隔で何かしらか絵本を買っているのですが)思ったこと。それは「やはり絵本はいいな」です。
実は最近、狭い部屋をできるだけ広くしたい、それには本棚の整理だ、と考え、積ん読状態だった本を片っぱしから読んでいます(【2021年の課題その2】毎日瞬読トレーニングに取り組んでいます。本棚の整理のため、自分を高めるため。)。
その一方で新しく買う本もあるのですが、上の理由で極力電子ブックで買うことにしています。電子ブックはいいですね、という話はまた別の機会にするとして・・。
なので、「オルゴールワールド」も半ば条件反射的に楽天市場の電子書籍サイトで検索をかけたのですが・・・・。ヒットしません。紙の本(と楽天サイトでは表現しています 面白い言い方ですね)しかありません。
そこでふと考えました。
絵本は電子ブックでは売られていないのだろうか。
電子ブックになっているのは、お母さんがソラで話のできるクラシック作品
確かにお母さんが娘や息子に読み聞かせるときに、携帯電話では小さすぎますね。でもiPadなどのタブレットが今後若いお母さん世代に普及したら、寝る前の読み聞かせも電子ブックになるのでしょうか。
楽天のサイトで調べてみると、「ぐりとぐら」「エルマーとりゅう」「にじいろのさかな」など、僕らの子供の頃から、あるいは僕らの子供たちの頃からあった名作たちも電子ブックでは出ていないようです。
一方で、「おおきなかぶ」「ジャックとまめの木」「うさぎとかめ」「つるのおんがえし」くらいのクラシックなものにとなると電子ブックも出ています。
「ぐりとぐら」はいろんな絵の「ぐり」「ぐら」がいるわけではありません。誰が思い描いても「ぐり」「ぐら」のキャラクターは決まっています。
クラシック作品は、多くのお母さんにとっては本を読まなくても頭にストーリーが入っていて、ソラで話して聞かせることができる物語が多い。「桃太郎」や「浦島太郎」もそうですね。桃太郎や浦島太郎の顔も出版社によっていろいろです。
つまり、クラシックとなると、色々な出版社から出されるし、中には電子ブックも現れるけれど、出版元がまだもとの1社に限定されている絵本は(著作権の関係?)、その出版社側に電子ブックでは出さないこだわりが感じられます(全て調べたわけではないので、中にはもちろん電子ブックを出している出版社もあるでしょうけれど)。
絵本の思い出 それは物語と絵だけではなかった
振り返ってみると、絵本の楽しさって、物語(ストーリー)と絵がその中心を構成しているのは言うまでもないですが、それ以外にもたくさんあります。
あの硬い表紙、その表紙をさらにくるんでいるテカテカにコーティングされたカバー、何度も読んでいるうちにそのカバーが破れてしまったりすると、とても悲しい気持ちになったりして。で、母親にその破れた箇所をセロテープで修復してもらう。
お気に入りの絵本は子供用本棚の中でいつも決まった場所にしまわれているので、読んで欲しい時にはそこから取り出してお母さんの元へ・・・。
そんな記憶が絵本の物語そのものの楽しさと一緒に記憶に刻まれています。
ということは・・・絵本の思い出というと・・
もちろん絵やストーリーが刻まれます。物語によって「楽しい」「悲しい」「おかしい」「かわいそう」などの感情が湧き起こって絵本とともに脳に刻み込まれます。
それからテカテカ、ツルツルの表紙の感触、「気持ちいい」とかですね。またカバーが破れたり、ページが破れた時に感じる「悲しい」気持ち。このページをめくると見開きの左側にはこんな絵があるんだ、お母さんはこのページでは声をオクターブ上げるので否応にも盛り上がっていく、そんな「ワクワク」した気持ちでページをめくっていく・・・
絵本の楽しさとは
絵本を読んでもらうプロセスでは、さまざまな感情が湧き起こっています。
人は、成長の過程でどれだけたくさんの感情を持てるか。どれだけたくさんの感情を持つことを経験できるか。それが多ければ多いほど、感性豊かな人間に育つのでしょうね。
よく子供を育てるに当たっては、あれをやってはだめ、これもいけないと言わずに好きにさせる、木に登って落ちて膝を擦りむく経験をさせる、それが大事と言われます。特に最近は親が口出して失敗を経験させない子育てが批判されています。これらは失敗を経験することで、こうしたらダメなのだということが覚えられるという意味で言われています。
と同時に、様々な経験、体験を積み重ねることは、それに伴って多くの感情が生まれることも重要なことなのでしょうね。自分自身が辛い思いをしたからこそ他人の心の痛みがわかると言われますし、センス、感性などというものは、教えて身につくものではない、感情経験(今、僕が作った造語ですが)の数がものをいうのだろうと思います。
昔、家庭用のテレビゲーム器が登場した頃、テレビゲームは負けそうになったらリセットボタンで最初からやり直せる、子供たちはみんなそういう遊び方になっていてよくないという問題が指摘されていました。今やゲームがここまで普及するともはやそんな問題の指摘すらされなくなっていますが。
でも、リセットできるがゆえに、負けて悔しい感情が半減されてしまうのだとしたら・・。
絵本の出版社が電子ブックでは出版しない理由はほかにあるのかも知れませんが、そんなことを考えながら、子供が読む絵本はいつまでもリアルで続けてほしいもの、そんな気持ちになりました。
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