挨拶はコミュニケーションの基本というけれど、意外とできていないもの

おはよう

朝、通勤時に家から最寄り駅まで歩き始めると、近所の小学校に通う子供たちとすれ違います。また、交通安全のためにいわゆる「みどりのおじさん」、つまり通学路と書いてある黄色い旗とお揃いの黄色いキャップをかぶっているおじさんも立っています。僕はおじさんの前を通るときに「おはようございます」と 挨拶を交わします。

1日のスタートは「おはようございます」

朝、出かける時刻はその日によってまちまちなので、必ず出会うわけではありませんが、時々は家の門を出たときに、向かいのマンションの管理人の女性がゴミ出しをしているときもあります。そんなときも「おはようございます」

地下鉄駅に向かってさらに歩くと、また別のマンションがあって、そこの管理人のおじさんにも「おはようございます」

実は、これ全部最初から声を出して挨拶していたわけではありません。「みどりのおじさん」に毎朝会っているうちに自然とお互いに顔を覚えるようになる。それでも最初のうちは軽くペコリと会釈をするくらいでした。

マンションの管理人のおじさんの場合は、先方から元気よく「おはようございます!」とおっしゃるんですよね。そうするとこちらも黙っているわけにはいかないから「おはようございます」

そのうちに自然と「みどりのおじさん」の前を通るときも声を出して「おはようございます」

駅の改札口は自動改札ですが、脇のブースの中には駅員さんがいます。駅員さんによっては改札口を通るときに「おはようございます」と声をかけてくださる人も。なので今ではどの駅員さんが立っている時でもこちらから「おはようございます」

そのうちに、あるとき地下鉄の改札口で、知らないおじさんから「おはようございます」と挨拶されました。びっくりして顔をよく見ると、例のマンションの管理人さん。制服を着ていないからわかりませんでした。こちらも慌てて「おはようございます」

会社に到着する寸前、隣のビルに住んでいる年配の方が道路を掃き掃除しているタイミングに出くわすこともありますから「おはようございます」。こちらの方も最初は僕からでなく向こうから挨拶してくださるようになったように記憶しています。

自分たちのビルに入ると、今度はそのビルの管理人さんが。それで「おはようございます」

エレベーターに乗る前に、1階のホールで毎日館内掃除をしてくださる方に会ったら「おはようございます」

掃除について言えば、毎日夕方6時を過ぎた頃に係の人がオフィスの床掃除に来てくださります。僕の部屋に来てくださる方はいつも決まった人。そのときには「いつもありがとうございます」

オフィスでは、自分の部屋にいるだけだと、打ち合わせや相談、報告にきたメンバーと挨拶を交わすだけになってしまうので、一日一回は営業や管理部門のフロアへ。営業のフロアが一番広いのですが、端から端まで回って「おはようございます」「こんにちは」

最初の頃は、営業の連中の中には「何の用?」「何しに来たのだろう?」と疑問をぶつけてくるのもいました。そんなときは「パトロールだ」「君らがちゃんと働いているかどうかパトロールするのも社長の重要任務!」と笑っていましたが、逆に「それなら僕も社長がちゃんと働いているかどうか社長室をパトロールしなきゃ」と言い返されたりして(笑)

もちろん、ほうぼうで挨拶していても中には何も挨拶が返ってこないときもあります。でもどうでしょう。きちんと数えて統計を取ったわけではありませんが、95%くらいの確率で挨拶が返ってきていると思います。

挨拶の効用

やはり挨拶は自分のため

確かに、こちらから挨拶をすれば大概返してくれますが、向こうから挨拶してくれるのはまださほど多くはないのかもしれません。よく、そういう人たちはきっと挨拶することに対してエネルギーがもったいないと思っているのではないか、などという人がいますが、まさかそんなことはありますまい。

さすがに会社のような一つの集団の中で挨拶しないことは少ないでしょうけれど、それでも仕事がテンパっていたりしたら挨拶どころではないかもしれません。挨拶って心にゆとりがないとできないのでしょうね。

でも「おはよう」と言って「おはよう」が返ってきたら気持ちは間違いなく良くなります。それだけで一日明るく過ごせるというのは大袈裟としても、しばらくの間はポカポカの気持ちになれます。

社内でフロアを回って挨拶するのは、メンバーの元気な顔を見ると気持ちが安心できるから、ということもあります。その点、学校の先生はいいですね。教室に行けば担任の生徒全員がこちらを向いていて、一眼でみんなの顔を見ることができますから。

それが挨拶の効用。いや、挨拶なんて損得を考えることではないでしょうが、あえて言えば、です。つまり自分のため、自分が気持ちよくなるということですね。

タクシーではこんなことも・・

最近、都内で日本交通のタクシーに乗ると、ドライバーの方が必ず名前を名乗ります。「ご乗車ありがとうございます。日本交通◯◯(名前)と申します」とおっしゃいますね。

次に「安全のため差し支えなければシートベルトのご協力をお願いします」と続くのですが、僕は乗り込んで即シートベルトをしているので、たいていは「シートベルトの着用ありがとうございます」となります。

僕の場合は、その前の自己紹介のとき、「日本交通◯◯と申します」と言われたら「山田文彦です」と答えます。場合によっては会社名も言ったりします。家人と一緒に乗っているときにこれをやると「あなた、何言っちゃってるの」と笑われますが。

でも実はそれより先に、つまり乗り込んでまだドアが閉まる前に「おはようございます。(止まってくれて)ありがとうございます」と言っています。マンションの管理人さんのおかげで挨拶を声に出す習慣ができていますからタクシーに乗っても自然に口をついて出るのです。

先日、こんなことがありました。「お客さん、さっき『おはようございます』と言って乗り込んできてくれましたけど、そういうお客さんは珍しいですね」「とても嬉しくなります」とドライバー。こんなことくらいで喜んでくれるならお安い御用です。

そんな話をきっかけに話が弾んだりするのも楽しい時間になりますし。挨拶して損することはありませんね(だから、損得でするものではないって 笑)

掃除のおじさんが転勤になるとき

上述の通り、毎日夕方にオフィスの床を掃除しに来てくれるおじさんがいます。去年の年末近くに、そのおじさんが転勤、つまり他のビルのオフィスに担当変更となったようです。

すると、その方がわざわざやってきて、「私、今度職場が変わることになりました。ついては今後数日間、引き継ぎのために後任者と二人でこちらに参ります」と挨拶をされました。

普通、そんな挨拶はしないのだろうと思います。なのにわざわざいらしてくださった。こちらも嬉しくなりますね。これも挨拶効果だったのかもと思います。おそらくその方がちゃんと引き継いでくださったのでしょう。後任の方もとても気持ちよく挨拶して下さいます。

昔の話ですが、ビルの警備員さんにお祝いを言ってもらったことが・・

実は、20年近く前、前の会社に勤めていたときの話です。その会社のビルは夜は出入り口にシャッターが降りて、裏口から出なければならなかったのですが、当時は結構遅くまで仕事をしていてフロアの最終退出者となることがしょっちゅう。そうなるとフロアの鍵をかけて警備室の台帳に名前を書いて鍵を返却するわけです。当然「失礼します」「お疲れさまでした」の挨拶を交わしますね。

そんなことが続いていたある日、営業部の部長になることに。人事が発表されると、社内の先輩方は口々に「こんな時期に部長になるなんて大変だな。苦労が多いだろうけれど頑張れよ」などと声をかけてくれます。たぶんそれは親心なのでしょうけれど、この言葉、前半部分はいりませんよね。「おめでとう、頑張れよ」でいいじゃないですか。大変だとか、苦労が多いだろうとか、かわいい後輩に向かってほかに言い方があるだろうに・・と思ったものです(笑)

ところが夜、いつものようにフロアの鍵を閉めて警備室に返却にいくと、警備員の方が「山田さん、部長昇進おめでとうございます」と言ってくれたのです。これは嬉しかった。僕の名前を知っていてくれたのにも驚きましたし(鍵の台帳に書き込まれた名前を見ていたのでしょうけれど)、おそらく職務上、総務部からの人事情報連絡に目を通していたものとはいえ、とにかく「おめでとう」と言ってくださったのは、この人ひとり。感激したことを今でも覚えています。

挨拶は損得ではないですね 自分が気持ちよくなる、ただそれだけのこと

以上申し上げたことはプラスアルファ。挨拶の本筋とは離れた話です。でも挨拶しているとそういう思い出もできる、それもまた楽しいことという意味でご紹介しました。

娘に対して

ところで、家ではどうでしょうか。

家には家人の他、勤めている長男とまだ20歳の学生の長女がいます。長男はすっかり大人なのでいいのですが、問題は大学生の娘の方。朝起きてきて顔を合わせると(最近のコロナ禍ではリモート授業なので、娘の起床時刻も遅くなり、なかなか顔を合わせなくなりましたが)、こちらから「おはようございます」。機嫌が良ければ「おはようございます」と返ってきますが、5回に2回はただうんとうなずくだけ。

おい、それではまるで俺が兵隊でお前が上官みたいじゃないか。と心でつぶやいています。声に出して注意はしません。この世代、下手に注意しようものならますますねじれてしまって口を聞かなくなりますから(笑)。

でも毎日、でもありませんが、少なくとも朝、顔を合わせたときにはこちらから先制のおはようパンチを見舞い続けています。向こうから挨拶が返ってこようとなかろうと、これからも続けていくつもりです。いつか向こうも気づくときが来るだろうと思っています。

明日から小学生たちに対しても

冒頭で、毎朝出勤時に小学生の登校時刻と重なる話をしました、

上でずっと挨拶の話をしてきましたが、思い返すとこの小学生たちには挨拶をしてこなかったことに気づきました。これはいけない。明日からはこちらから「おはようございます」としっかり声に出して挨拶をすることにしましょう。

小学生たちはびっくりするかな。それとも普通に挨拶を返してくれるかな。どんな反応を示すかとても楽しみです。

おはよう

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この記事を書いた人

山田文彦
 株式会社クレハトレーディング代表取締役社長
 社員の力をどうやって高めていくか? これが毎日考えているテーマ
 日本一の会社にしたいと真面目に考えています

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