確率・統計が人生の必須科目

前回紹介した数学者アーサー・ベンジャミン教授(Arthur Benjamin)のTED動画は他にもあり、いずれも面白い。今回はその中から、Teach statistics before calculus! を紹介したいと思います。

この中でベンジャミン教授は、今の数学教育のカリキュラムを変えるべきだと言っています。ベンジャミン氏曰く、現在の数学教育は頂点に微積分を置き、その習得に向かってプログラムされているけれども、現実世界で微積分を使う人がどれだけいるだろうか。むしろ確率・統計に向かってプログラムするべきだ、自分がオバマ大統領に招かれらたら(この動画2009年のもの)、是非提言したいと話しています。

確かに西内啓さんが書いているのも同様の主旨、というか西内さんは「統計学が最強の学問である」という著作の通り、統計は最強!とまでおっしゃっています。

ベンジャミン教授のTEDトークでは、統計を勉強してリスク、リターン、不確実性の理解を深めることが必要で、もしアメリカ国民が高校時代に確率・統計をしっかり学んでいれば今日の経済混乱(リーマンショックは2008年でしたね)も起きなかったというジョークも飛ばしています。最後には学生は微積分の解法を習うよりも「平均から標準偏差の2倍離れている」ことの意味をみんなが理解していることの方が重要と言って会場から拍手喝采を浴びていました。

確かに日々の仕事の中で微積を使うことはありませんね。投資回収の計算の時に積分の考え方を理解しているといいかな、くらいのことはありますけれど。
一方で確率や統計はとても大事です。

新しいこと(事業、ビジネス)を始めるときにはリスクはつきものですが、この手の議論になると大抵、リスクがあるか否か、リスクを負うべきか否かなどの話題になりがちです。リスクがあるから、危ないからやるべきではないとか、リスクを負ってでも飛び込まないと活路は開けないとか、いつも命懸けで仕事をしている気持ちになります。

会社でメンバーにいつも言っているのは、「リスクは負うものでなく、正しく見積もるもの」ということ。つまりリスクがあるからNot Go、あるいはリスクを覚悟してGoというゼロ百の考え方をするのでなく、リスクを正しく計算してことにあたる。たとえGoサインで進めたとしても絶えずリスク計算を重ねてその値の変動に注視する。これがリスクへの正しい対処だと言っています。

これは当たり前のことなのですが、人間どうもいざとなるとこの当たり前のことがどこかに飛んでいってしまいゼロ百の考えに取り憑かれてしまう。もしかしたら、それも統計学リテラシーの問題なのかも知れません。

テレビ番組も同様ですね。今年はとうとう暮れまで連日コロナの話題が尽きることがありませんでしたが、Go toキャンペーンひとつとってもやるべきかやらないべきか、やったことが失敗だったのではないか、などゼロ百思考の雨あられ。こんなものは感染状況をウォッチしながら手綱を引いたり出したり微調整をしていくしかない。なのに昨日と今日で政府の言うことが正反対などと騒いでいるコメンテーターの話で番組が盛り上がっている。

閑話休題。

そんなことから、今回会社の人事評価制度改定の中で、統計学リテラシーを高めることを目標の一つに入れたわけで、会社のメンバーが高い統計リテラシーの下、常に合理的に議論を進めるようになったらいいなと考えています。

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この記事を書いた人

山田文彦
 株式会社クレハトレーディング代表取締役社長
 社員の力をどうやって高めていくか? これが毎日考えているテーマ
 日本一の会社にしたいと真面目に考えています

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