プロローグ
・・・新幹線の中でブログ記事を書こうとか本を読もうとか始めてもすぐにウトウトとしてしまう。目が覚める都度ディスプレイや本に立ち向かい直しますがそれでもほどなく寝落ちの繰り返し。非効率なことこの上ありません。
と、ここまで書いてはたと考えました。
「この上ありません」は正しい日本語なのか。
「この上ない」をていねいに表現するのは「この上ありません」ではない
結論を言うと、「この上ありません」は間違いです。
「この上ない」は形容詞です。つまり「美しい」「楽しい」「面白い」などと同じです。
だから活用形としては、たとえば「寒い」ですと「寒く」「寒かった」「寒ければ」「寒かろう」などとなります。
同様に「この上ない」は「この上なく〜だ」などと変化しますが、決して「この上ありません」というような言い回しはないのです。
「とんでもありません」も誤り
同じような誤用として「とんでもない」もよく挙げられますね。下のやりとりなどは目上の人との会話でよく出てきそうな場面です。
「ありがとう、無理させてしまったね」
「とんでもありません」または「とんでもございません」
これは間違いで、正しくは「とんでもないことでございます」と言われています。
さすがにこれではちょっとていねいさが大げさだなという感じもしますが、そんなときは「とんでもないです」も良いとされています。
同じ「〜ない」でもまず間違うことのない言葉もあります
同様に「〜ない」との形容詞でも「だらしない」「みっともない」などは、「だらしありません」とか「みっともありません」などと言う人はまずいません。
間違いやすい活用とまず間違わない活用、どこからこの差がくるのかはなんともわかりませんが面白いですね。
ビジネスの場や目上の人に向かうときに使うような言葉だと、ていねいに言葉を使わなければとの気持ちから間違ってしまうのかも知れません。
「〜ません」が正しいケースもある?
一方で「おぼつかない」は「おぼつきません」は間違っているとは言えないように思います。
「しかたない」も「しかたありません」と言いますね。これは正しいのでしょう。
「やむを得ない」「やむを得ません」も正しいように思います。
国語の文法を紐解くと・・・
「やむを得ません」は、「やむを得ない」に丁寧語「ます」の未然形「ませ」に打ち消しの助動詞「ぬ(ん)」をつけた敬語表現です。 ただし、丁寧語は「です」「ます」のように文末につけることで文章全体を丁寧にする敬語表現です。
と説明されています。
日本語はなかなか難しいですね。
また言葉は時代とともに変化するものです。実は「とんでもありません」はもともとは誤用ですが近年このような使い方が広まっているので文部省も認めているそうです。
エピローグ
日本語の活用やていねい表現は難しい。
今の文章も「日本語の活用やていねい表現は難しいです」のように形容詞に「です」をつけるのも誤りと言われていますから、ぼくなどは「難しいですね」と「ね」をつけるようにしていますが、最近は「難しいです」も一般的になっているようにも思います。
若いタレントがやたらと「〜させていただく」を連発したり、コンビニエンスストア店員が「よろしかったでしょうか」と言ったり「恐縮です」を多用したりするのもそのうち正しい日本語になっていくのかも知れません。
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