言語化することは大切、視覚化も大切

プロローグ

前回までの「営業は数字を上げることが仕事なんだけどね、実はその手前が大事という話(最終回はこちら)」の中でイノベーションの力をつけるのにデッサンの練習が有効という説明をしました。それを習ったのは日経クロストレンド誌主催の「デザインマネジメントによるイノベーター育成講座」です。講師の田子學氏の言葉は一つひとつ忘れないように心に刻んでおこうと思っています。

その田子學さんの言葉が今回のブログタイトルです。今回はそんな話をしてみたいと思います。

最近、言語化する力が大切というトピックをよく聞きます

言語化

最近、インターネット上の記事、特にリーダーシップ、組織力強化、コミュニケーション向上などについての話題の中で「言語化」あるいは「言語化能力」が大切という話をよく見かける気がします。

上司が部下に指示する、何かを教える時に言いたい内容を的確に言語化できるかどうかはとても大事なポイントです。

反対に部下から上司に報告する、相談するときもちゃんと言語化できないと「こいつ、何を言いたいんだ?」となります。

ここ何年かで職場内の「1 on 1」を実施するようになった組織も多いと思いますが、せっかく「1 on 1」の機会を作っても両者の「言語化能力」が足りないと話が平行線に終わります。

一方で「1 on 1」を繰り返していく中でお互いの「言語化能力」を高めていくということもあるかもしれません。

コミュニケーション向上の話題になるとまず「聞く力」が大切とよく言われますし、「1 on 1」のテキストを読んでも「聞く」ことにフォーカスされていることが多い。

しかし聞き手がいくら耳を傾けても話す人が訳のわからない話しかたをする限り結局よいコミュニケーションをとることはできません。

逆説的には「言語化」を上手くできない人の話をよく理解するために「聞く力」を身につけましょうと言えるかもしれません。

だからコミュニケーション上「言語化能力」は極めて大切なことといえます。

言語化の一方で視覚化、図解化も大切

スケッチブック

一方、冒頭で紹介した日経クロストレンド誌主催の「デザインマネジメントによるイノベーター育成講座」の中で、講師の田子學氏から出た言葉が「言語化することは大切だが同時に視覚化することも大事」ということでした(ちなみに田子學さんのTwitterはこちら)。

うる覚えなところがあるので、正確な言葉としては「視覚化」でなく「図解化」だったかもしれませんし他の言葉の可能性もあります。いずれにしても絵で表すということです。

前回の記事でデッサンとイノベーションの話を書きましたが、その話題の中で触れられた言葉でしたから「なるほど、ぼくも会社でしきりに言語化する力をつけようよと言っていたけれど、絵で表す、絵を描いて考えることも大事なんだな」と聞いていました。

すると1週間ほど前の伊藤羊一さんがご自身のvoicy「伊藤羊一の明日からの元気の源になる話」の中で同じような話をされていたのです(伊藤さんのvoicy「ポンチ絵を描くことの重要性」)。

伊藤さんは週に1日は「絵を描く日」をスケジュール化しているのだそうです。「ポンチ絵」とおっしゃっていましたが、その時々で自分が考えていること、たとえば抱えている仕事をこう進めていこうとか、大学の授業のスケジュールとか、もっと長期のテーマとしてこんなことがやりたいとか、そんな内容を絵に描くのだそうです。

スケジュールが立て込んでいるときなどはなかなか週一で「絵を描く日」を取れないとおっしゃっていましたが、ときに2週間とか間が開いてしまったとしても、できるだけ他に何も予定を入れないでこの日は頭にあることをご自身のノートに絵で書き出す、と決めているのだそうです。

そのために月光荘のスケッチブックを持ち歩いていると話していました。その理由が「なるほど!」というものでしたのでここでシェアしたいと思います。

voicyの中では理由をいくつか挙げていらっしゃいますが、ここでは一つだけ触れておくと以下の内容です。

伊藤さんはご自身の考えを毎日のvoicyで披露されている他、twitterやnoteでも発信されています。twitterやnoteはもちろん文章による発信です。voicyは声による発信ですが話している内容は文章です(伊藤さんのTwitternote)。

伊藤さんは「文章で書くのは抽象度が高い」とおっしゃっています。モノを考えることは具体と抽象の間を往復することですが、文章を書く行為は抽象度の高い作業だとおっしゃっています。

面白いのはその先で、そうはいうものの実際の頭の中はそんなに綺麗に抽象化されていない、もっとぐちゃぐちゃな状態であり、そのぐちゃぐちゃな頭の状態は図に表すことで考えをまとめていくことができるとの話でした。

これ、田子學さんが「見たものを頭の中で抽象化してそれをスケッチブックに編集して描き出す」のプロセスですね。

たった1週間の間に同じ主旨の話を2度も聞けたのはラッキーでした。

絵は気持ちをのせることができるもの

気持ち

先週末に田子さんにお目にかかる機会があったので上記の伊藤洋一さんのvoicyの話をお伝えしましたが、その際にぼくの方から一つ付け加えたのは以下の話です。

これはぼく個人が感じている話なので当たっているかどうかは人それぞれだと思いますが、言語化して話すより絵に表した方が自分の気持ちをのせることができるように思います。

そして気持ちをのせたほうが物事はうまく進むのだろうと話しました。

会社の業務報告などは事実やデータを簡潔に報告することが求められますが、これからどんなことに取り組むかのような未来の話をするときには、自分の気持ちを表出することが大切だと思っています。

未来のことって誰も予想することができません。過去の経験値やデータをいくら積み上げたところでその延長線上のことが起こるものでもありません。

またたいていの場合はとんとん拍子にうまくいくことはありません。どこかで引っ掛かったりつまづいたりするものです。

だからこそ「これがやりたいんだ」の気持ちをストレートにアイデアにのせていくことが大切だと思うのです。「これを実現したらこんなに素晴らしい世界ができるんだ」という気持ちをのせたら動きにドライブがかかるものです。

今、「動きに」ドライブがかかると言いましたが、動きとは「行動」だけでなく「アイデア出し」、「話し合い」なども含みます。

アイデアを出すプロセスも気持ちがのっていたほうがいい案が出るものですし、話し合いも盛り上がります。

やってみてうまくいかなかったときも起きていることを冷静に分析することは大切ですが、それ以上に「やりたい」「嬉しい」「悲しい」「悔しい」などの気持ちを表すことが次につながると思っています。

エピローグ

仕事を進める上で「気持ちをのせる」ことはとても大切だと思います。

これは絵で表すことに限りません。自分の気持ちをストレートに「言語化」できることも大事な力です。

ミーティングでメンバーたちに自分の気持ちをわかってもらうことも重要ですし、何より自分自身が自分の気持ちをちゃんと理解することが一番大事なのだと考えています。

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この記事を書いた人

山田文彦
 株式会社クレハトレーディング代表取締役社長
 社員の力をどうやって高めていくか? これが毎日考えているテーマ
 日本一の会社にしたいと真面目に考えています

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